『なんということでしょう』というフレーズとともに古くて悪条件な暮らしを強いられた家が見違えるように変化する。そんなテレビ番組を小学生の時に見たことをきっかけに建築の道を志しました。だって、建物という大きなモノが、建築士つまり人間の手によって魔法のように作り上げられたり、キレイな姿に生まれ変わっていくのって、めちゃくちゃカッコよくないですか？すごくないですか？私は幼いながらに「自分もこんな風に喜んでもらえる家を作りたい！」と憧れを強く抱いたんです。でも、漠然と『家を作りたい』と思っていただけだったので、この業界に設計や施工管理といった様々な仕事があるのを知ったのは就職活動の時でした。

たくさんの職種があると知って、一番自分がやりたいことは何なのか、向いていることはどれなのか、ものすごく悩みました。悩んで悩んで結局絞りきれなかったんです。なんとなく設計かな？と思ったりもしたのですが、設計事務所に見学に行った時に「こんなに静かな環境で、1日中パソコンとにらめっこするのは厳しいかも…」ともっとわからなくなってしまって。だから、就職先を決める時にまず考えたのが、職種の幅があって、色々な建築物に関わっている企業だということ。その条件で探す中で出会ったのが、設計から施工まで一貫して行っている、かつ現場経験も積むことができると言われた、この会社でした。

毎日現場に通う日々。単調かと思うかもしれませんが、全くそんなことはありません。お客様の要望をカタチにするのが使命ですから、同じ木造住宅の現場だとしても、要望が少しでも違えば全然違う現場になるんです。もし要望がすべて同じだったとしても、周りの環境が違えば、カタチにするための条件が変わるので、それはもう別モノです。工程、品質、安全、原価の管理といった施工管理の仕事も、現場が変わればその都度必要な知識は変化するし、担当する業務も変わってくる。だから、毎日が新しい発見の連続。自分の知らなかったことに出会えて、常に新鮮な気持ちで現場と向き合うことができています。

テレビで見ていたよりも実際の建築現場はさらに複雑で、たくさんの人が関与しています。多くの人と関わりながら、施工管理として家が建っていくまでの過程を一番近くで見守り続ける。毎日お客様の要望を叶えるために頭を働かせて、時には職人さんと一緒に体を動かして、たくさんのことを学んでいく。これが新しいコト好きの私に合っていたんだと思います。毎日新鮮なことでいっぱいの現場が楽しくて、施工管理という仕事を知れば知るほどハマってしまいました。設計志望で入社しましたが、今はまだ現場で頑張りたい欲の方が大きいんですよね（笑）

現場で一番頭を使うのは、基礎をつくる段階だと思います。基礎というのは家の土台になる部分のこと。工事の中でも最初の作業ですが、基礎の時点で最後の完成形を想像して決めておくべきことがたくさんあります。例えば、床のタイル張りのこと。タイル張りは仕上げの作業ですが、基礎をつくる時にどのように並べるのか、何枚使用するのか細かな所まで考え抜いて決めておきます。ここが基礎の段階で少しでもズレていると実際にタイル張りをした時にキレイに納まらないんです。ほかの工程についても同じです。少しでも考えるのを怠ると最後に大きく響いてくる。そのくらい建物というのは完成まで一貫して繋がっているので、一瞬も気が抜けないんです。

お客様が望むカタチを常に考えながら、そこに向かって一つひとつ着実に進めていく。完成した後に「あの時、もう少し考えておけば良かった…」なんて後悔は絶対にしたくありません。お客様が望んでいるイメージからズレることのないように、最大限頭を働かせる。そうやって先輩たちがお客様に寄り添う姿をずっと見てきました。だから私もその服部クオリティを守り抜かなければと常に思うのです。お客様の要望を第一に考えながら全力で向き合いたくなるのです。そんな思いで関わった現場で、イメージしていたものが目の前でカタチになった時、言葉では言い表せない嬉しさを感じます。ガッツポーズじゃ足りないぐらいの達成感と喜びが自分の中で爆発しちゃうんです。これを一度でも体感してしまうと、私みたいにこの沼から抜け出せなくなってしまうと思いますよ。